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一応、毎日英語で生活しているカリフォルニア在住まくらネコ(@makuraneko_ca)です。
20年前にTOEIC900点を取りましたが、だからと言って英語がペラペラなわけではないです。そして、リスニングは未だに苦手意識があります。
もう年だしな~と半ば諦め気分でしたが、アメリカで生活し、仕事をするようになって、さらなるブラッシュアップの必要性を感じております。
そこで、原点に帰って、またやるか~!と思ったのが「ディクテーション」です。
ディクテーションとは、英語を聞きながら書き取る練習のことです。
根気が必要な地味~な作業ですが、本気でリスニング力を上げたい人は絶対にやったほうがいいです。なぜなら、それだけ効果があるからです。
この記事では、ディクテーションの効果的なやり方についてご紹介します。
目次
ディクテーションとは?
冒頭でも述べましたが、ディクテーションとは、英語の音声を聞きながら書き取る練習のことです。
プロの通訳になるために必ず行う練習
私が初めてディクテーションを経験したのは、英語力アップのために通訳養成コースに通い始めたときでした。もう20年以上も前のことです。
何となく相手の言っていることが理解できる程度ではプロの通訳にはなれません。ちょっとした聞き間違いや意味の取り間違いが、大きな誤解を招いてしまうことになるからです。
ディクテーションは、プロの通訳になるために必ず行う訓練です。つまり、それだけ効果が高いということです。

ディクテーションはなぜ効果が高いのか
これはもうずばり「書き取る」からです。
単語が聞き取れていないと書き取ることはできません。
ディクテーションをすることによって、英語を正確に聴きとる力が養われるのです。
聞き流すだけでは英語を聞き取れるようにはなりません
リスニング教材の売り文句として「聞き流すだけで英語を聞き取れるようになる」というものがありますが、それはまず無理です。
本当に聞き流すだけで英語が聞き取れるようになったら誰も苦労はしません。
いつまで経っても、「なんとなくこんなことを言っていると思う」というレベルを超えられない方は、ぜひディクテーションを試してみてください。
ディクテーションのやり方と上達のコツ
基本的なやり方はとてもシンプル
- まず音声を3~5回程度聴く
- 適当なところで音声を区切りながら書き取る
- 何度も繰り返し聴いて書き取り、これ以上は無理!となった時点でスクリプトを確認する
- どこが聞き取れなかったのか確認する
上達のコツ
文章をあまりに細かく区切りすぎない
初心者のうちはなかなか聞き取れないので、ついつい一つの単語ごとに止めながら書き取ろうとしてしまいがちです。
そうすると、全体の意味が捉えずらくなりますし、英語の音のつながり(リエゾン)もわかりづらくなってしまいます。
たとえば、以下のような文章の場合、せめてスラッシュが入っているあたりで区切ってみましょう。
I went to the movie / with my friend / yesterday afternoon.
ディクテーションに慣れてくると、これくらいの長さのセンテンスは1回聴いただけで書き取れるようになります。
わからない単語はカタカナでメモしておく
知らない単語が聞き取れないのは仕方ありません。
音として認識できるのであれば、とりあえずカタカナで書き取っておきます。そして、そのカタカナを頼りに辞書で調べてみましょう。
根気がいる作業ですが、こうやって苦労して調べた単語は印象に残るので、ちゃんと覚えているものです。
推測してみる
英語の場合、単語同士の音がつながって聞こえたり、前置詞などの音が落ちて聞こえない場合などがあります。
そういう場合は、前後の文脈や文法の知識をもとに推測してみてください。
たとえばこの文章。
The total cost of the package is $38.50, taxes included.
赤字の部分は「コストブ」のように聞こえます。ブはほとんど聞こえないので小さく表示してみました。
「コスト」と「パッケージ」が聞き取れれば、名詞同士の間に前置詞が入ることがわかるので、「コストブ」がcost ofだと推測できます。
大人になってから英会話を学ぶ際に、文法はそんなに勉強しなくてもいいと言う人がいますが、実は文法の知識って大事なんですよ。
すぐに諦めない
読めば簡単な文章でも、最初はなかなか聞き取れなくて苦労すると思います。
でも、10回くらい聴いただけで諦めてしまって、すぐにスクリプトを確認していてはなかなか聞き取れるようにはなりません。
40回でも50回でも聴いてみて「どうしても無理!」となった時点で、ようやくスクリプトを確認するようにしてください。
以上がディクテーションのやり方と上達のコツなのですが、ここで終わるのはもったいない。
本当にリスニング力をつけるには、この先の練習がさらに重要

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ディクテーションをするだけでも効果はあるのですが、さらにリスニング力を高めるためにはここからが大切です。
ディクテーションをやっていると、どういう音が聞き取れないのか、自分の苦手な傾向が見えてきます。
- とにかく知らない単語が多すぎて聞き取れない
- 前置詞(in, on, atなど)や冠詞(a, theなど)が聞こえない
- 単語同士がつながって聞こえて、別々の単語だと認識できない
- 思っていた単語の音と違っていて聞き取れない
- bとv、rとl、mとnなどの聞き分けができない
1.とにかく知らない単語が多すぎて聞き取れない
この場合、ディクテーションも大事ですが、それ以前に単語を増やす努力をしないといけないですね。
単語を増やすには、英語の文章をたくさん読むことをおすすめします。
2.前置詞(in, on, atなど)や冠詞(a, theなど)が聞こえない
スクリプトを確認しながら、どんな風に聞こえているのかを確認します。
前出の例文でいうと、赤字の部分が「コストブ」と音がつながって聞こえ、なおかつ、ofはほとんど聞こえない。さらに、そのあとのtheの音も弱く聞こえにくい、など。
The total cost of the package is $38.50, taxes included.
英語の場合は、名詞や動詞が強調して発音され、前置詞や冠詞は弱く一続きに発音される傾向があります。
前提として、英語の発音のパターンを学んでおくと、なぜそんな風に聞こえるのか納得できますよね。
それがわかったら、音声を聞きながら、そのまま真似てリピートしてください。上手く言えるようになるまで、何度でも繰り返します。
cost of theが「コスト・オブ・ザ」だと思っていると、いつまで経っても聞き取れるようにはならないんですね。
英語の音のつながり方や発音の強弱を、自分で体得して再現できるようになると、リスニング力がぐんとアップします。
そして、同時にスピーキング力も向上するので、これはぜひやってみてください。
3.単語同士がつながって聞こえて、別々の単語だと認識できない
またまた同じ例文でいうと、赤字の部分は「パッケージーズ」と聞こえます。なので、packagesと複数形にしてしまうかもしれません。
The total cost of the package is $38.50, taxes included.
でも、そうすると「コストは$38.50です」の「です」の部分のBe動詞がなくなってしまうので、複数形のpackagesではなく、package isだということがわかります。
ほかにも、HisとHe'sなど、文法の知識で補えるパターンはけっこうあります。
もし、このあたりの区別がつかないということであれば、文法の基本をもう一度おさらいすることをおすすめします。
4.思っていた単語の音と違っていて聞き取れない
これはカタカナ英語の弊害と言えるかもしれないですね。
例えば、saltは「ソルト」ではなく、実際には「ソートゥ」のように聞こえます。studioは「スタジオ」ではなく「ストゥーディオ」、adultは「アダルト」ではなく「アドートゥ」のように聞こえます。
人によって、あるいは国によって発音の仕方が若干違うことがあるので難しいところですが、まずはカタカナからの脱却を目指しましょう。
スクリプトを見てこのような単語を発見したら、その場で正しい発音を覚えるようにしてください。
5.bとv、rとl、mとnなどの聞き分けができない
これも日本人が苦手な発音ですよね。私もrとlが本当に苦手で苦労しています(涙)
悲しいかな、自分が発音できない音は、聞き取れないんですよね。
で、あるとき、このビデオを見て目からウロコがぽろぽろと落ちまくりました。
自分の思い込みだけでいくら練習しても上手くはならないということがわかった瞬間。
10代までなら、真似るだけでネイティブの発音を身に着けることもできますが、大人になってからだとそう簡単にはいきません。
よほど音感が良い人は別として、普通は闇雲に真似するだけでは正しい発音を身に着けるのは難しいものです。
口や舌の筋肉の使い方を具体的に学ぶほうがより効果的なので、発音矯正のクラスを受講したり、ビデオを利用したりすることをおすすめします。
おわりに
英語が聞き取れない!というのは、日本人の多くが抱えている悩みです。
英語には、日本語には存在しない音がたくさんあるので、ある意味、聞き取れなくて当たり前だと思います。
でも、だからこそ、ただシャワーのように英語を浴びるとか、通勤途中に聞き流すだけでは、聞き取れるようにはならないんですよね。
ディクテーションは時間と根気が必要な地味な作業ですが、集中して英語を聴き、自分のリスニングの弱点を発見できる効果的な方法です。
さらに、そこで見つけた自分の弱点を克服するために、単語を増やしたり、文法をおさらいしたり、発音の練習をすることで、リーディング力とスピーキング力も総合的に伸ばすこともできます。
本気でリスニング力を高めたい人は、面倒くさがらずにチャレンジしてみてください。
余談ですが、久々にやってみたら、昔よりもすっごく聞き取れるようになっていてちょっと感動しました。
行き詰まりを感じたときに、自分の成長を知るために活用するのもいいですね。