
Photo by Paweł Czerwiński on Unsplash
グーグル本社お膝元在住のまくらネコ(@makuraneko_ca)です。
こちらのテレビでも大きく報道されていた11月1日の世界中のグーグル従業員によるストライキ。
ちなみに、英語ではストライキのことを「Walkout」と言います。
グーグルの本社があるのはカリフォルニアのベイエリア「シリコンバレー」。革新的で自由で働きやすい雰囲気の職場というイメージがあったので、ニュースを聞いたときは驚きました。
この記事では、世界的なストライキの背景などについてまとめてみました。
ことの発端はニューヨークタイムズの暴露記事
10月25日付のニューヨークタイムズ紙が、グーグルがセクハラ問題で退職した役員アンディー・ロビン氏に9,000万ドル(約100億円)の退職金を支払ったと報じました。
How Google Protected Andy Rubin, the ‘Father of Android’ (英語)
グーグルは過去に48人の社員をセクハラにより解雇したのですが、その社員たちには退職金は支払われていないとのこと。
なぜ、この役員には9,000万ドルもの退職金が支払われたのでしょうか?
セクハラ役員はアンドロイドの生みの親
グーグルでは過去に、セクハラで訴えられて退職した役員がロビン氏を含めて3人いるらしいのですが、今回、彼が注目を集めたのは、その破格の待遇によります。
実は、アンディー・ロビン氏はアンドロイドの生みの親。
彼が立ち上げたアンドロイドを2005年にグーグルが買収。ロビン氏を会社に迎え入れて以来、今では世界のスマートフォンの約80%がアンドロイドという大成功を収めたのです。
ニューヨークタイムズの記事によると、このロビン氏はかなり性的に奔放な方だったようで、数多くのスキャンダルがあったようです。ちなみに、妻とは8月に離婚しています。
2014年に被害者からの訴えで発覚したセクハラ問題により、会社側から退職を促すことになったわけですが、セクハラについては公にせず、代わりに莫大な退職金と賛辞の言葉で送り出しました。
さらには、半年後にロビン氏が立ち上げた会社に多額の出資までするという手厚さ。
大成功の立役者であるとはいえ、さすがにやりすぎのように思います。
役員の退職が好条件になる理由
これには、いろいろと理由があるようですが、主には、
- 不当解雇を理由に裁判を起こされると、グーグルもセクハラの被害者もメディアの注目を浴び、大きなダメージにつながるため
- 有能な役員がライバル企業に転職することを防ぐため
というところのようです。
社員の不満が爆発
ニューヨークタイムズの記事を発端に、一部の社員の呼びかけに多くの社員が賛同し、世界的なストライキにつながったわけですが、主催者の一人によると、
「ニューヨークタイムズで報道されていたことは、氷山の一角に過ぎない」
のだと言います。
グーグルが女性社員やマイノリティ、身体障碍者などにとって平等な職場ではないと感じている社員も多いようで、これは私にとっては驚きでした。
グーグルは先進的で開放的で自由な社風の会社なんだろうなというイメージを勝手に持っていて、チャンスもフェアに与えられると思っていたからです。
日頃から鬱積していた不満が、セクハラ役員へ破格の退職金を支払うという会社の誤った判断をきっかけに爆発して、今回の大規模なストライキにつながったようです。
まとめ
今回のストライキで会社に提出した社員からの要求の中に、
「セクハラ被害を安全に匿名で報告できる世界的に統一された明確な手続きを設ける」という内容がありました。
え!?アメリカの大企業なのにそういうシステムがないの!?って正直思いましたね。私が日本で働いていた会社ですらちゃんと専用窓口がありましたよ。
IT業界をリードする世界的大企業もふたを開けてみると、セクハラや差別が蔓延しているのかと思うと残念な気持ちになりますが、社員が一丸となって立ち上がり会社にアピールするところはさすがアメリカだなと思いました。
日本の企業だと、なかなかこういう動きにはならないですよね。
立ちはだかる壁は大きくても、一人一人が声を上げていくことが、社会の変革につながっていくのだと思います。グーグル社員の行動が報われますように。